第233章 起こしてしまったか

一条星夜は、彼女が目覚めた瞬間にそれと気づいていた。長年培われた警戒心は、彼女の傍で安らかに眠っている時でさえ、周囲の環境――とりわけ彼女に関する気配を鋭敏に捉え続けていたのだ。

「ん」

橘凛は短く応じ、小首を傾げて彼の覚醒した瞳を覗き込む。

「起こした?」

「いや」

星夜は腕を解いて身を起こすと、眉間を軽く揉んで残る睡魔を追い払った。

「俺も起きるよ。送っていく」

二人の間に多くの言葉は不要だった。阿吽の呼吸で身支度を整える。

早朝の療養所は静寂に包まれ、窓外から時折、鳥のさえずりが聞こえるのみだ。

星夜は先に隣の病室へ様子を見に行った。北畑隆はまだ目を覚ましていないが、...

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